オオカミ社長は恋で乱れる

「お茶して頂かなくてよかったんですか?」

「ああ・・あいつの好きなチョコをやったから大丈夫だ」

何だか気まずそうに言う西条さんを不思議に思いながら、また後日佐賀さんにお礼を伝えようと思った。

そして今日は本当に良くして頂いたことを伝えたくて佐賀さんの事を話していると、ふと西条さんの表情が曇ってきたことに気付く。

「西条さん?」

様子を窺うように名を呼ぶと、明らかに不機嫌というか拗ねた声色で視線を逸らしながら返事をした。

「・・・何だ」

「何か、怒ってますか?」

私の問いに呟くように返してくる。

「別に怒ってない。絵莉に怒るわけないだろう」

「そうですか?」

「怒ってはいないが・・・あいつを絵莉が褒めるのは何か気に入らない」

・・・え?佐賀さん?

気に入らないって。何だかそれって・・。

西条さんの嫉妬のような気持ちを聞いて驚いてしまう。

そして頬に熱が上がるのを感じた時、左頬が西条さんの右手の温かいぬくもりに包み込まれた。

「褒めるだなんて・・・。感謝の気持ちです」

「それでも何だろうな・・。何か絵莉が他の男を嬉しそうに良く言ってるのを聞くと腹が立つ」

「西条さん・・・」

眉間にしわを寄せて不満げに話すその顔を見ていると、嫉妬しているみたいに見えて気恥ずかしくなる。

そんな西条さんが愛おしく思えて見つめ合うようにしていると、ボスッと体当たりするように悠が抱きついてきた。

「ママー!おふとんもみて!」

そう言って私の手を掴むと、リビングから寝室へ誘導する。

そして勢いよくドアを開けると、すぐにベッドが視界に入った。

「え?」

見えたベッドがとても大きい。

確かこの部屋のベッドはダブルサイズ位だったはず。

でも目の前にドンッと置かれているベッドはそんなもんじゃない。

前の倍の大きさはあるよね・・。

「ねー!ママすごいでしょ!ここでおひるねしたんだよ!」

悠が興奮気味にベッドを指差していうと、悠がベッドに登りジャンプする。

まるでトランポリンのように。

するとトコトコと走ってきた凛も一生懸命に登って、悠を真似てジャンプした。

「こら!ダメよ。ベッドが壊れちゃうでしょ!」

私が焦って叱ると、いつの間にか側にいた西条さんが笑いながら言った。

「さっきもああやって楽しそうに飛んで、疲れたのか昼寝していたな」

「どうしたんですか?このベッド」

「ああ、これならみんなでゆったり寝られるだろ?」

その言葉を聞いて驚いた。

前は確かに西条さんと私の間に悠と凛が寝て、みんなくっつき合っていて寝返りもできない位だった。

でもそれに不満なんてなかった。

今のこの2台分のベッドなら西条さんの言う通り、かなりゆったりと寝られる。

1台でも大人2人ゆったりできるサイズだもの。

それが2台分。

なんて贅沢なのだろう。

そんな私の考えている事が分かるのか、私の腰を抱きながら耳元に口を寄せて囁いた。

「俺も絵莉を抱きしめて寝たい。悠と凛が寝たあとならいいだろう?」

そんな風に甘く囁かれたら、いろいろと想像してしまう。

途端に羞恥心に襲われる。

それでも西条さんがいろいろと考えてくれている事は伝わってくるから、頷いて答えることで返事した。

私も西条さんに抱きしめられながら寝られたら、どれだけ幸せな気持ちになるか。

想像して、それだけで胸が温かくなる。

本当に西条さんはストレートに気持ちを伝えてくる。

そんな西条さんに私もちゃんと応えたいと思っている。