オオカミ社長は恋で乱れる

清水さんと子供達の遊ぶ姿を眺めながらコーヒーの準備をしている社長の側に行くと、こちらを見て社長が「今日はありがとう」と頭を下げてお礼を言われたので、驚いて目を見開いてしまった。

お礼を言われた事はあっても、頭を下げてくるなんて・・。

「とんでもございません。お役に立てて良かったです」

「本当に助かった。休日なのに申し訳ないと思っている。佐賀じゃなければ頼めなかった」

「お役に立てて、私も嬉しく思います。清水さんにも楽しんで頂けて良かったと思います」

清水さんの話題を出すとすぐに社長の表情が柔らかいものへ変わる。

「絵莉が喜んでいたならよかった」

「はい。車内では終始恐縮されていたご様子でしたが、ご友人と過ごせて大変楽しめたそうです」

「そうか」

「はい。帰りにお迎えにあがった時に、楽しかったと話されてましたよ」

その様子を思い出して、つい苦笑してしまった。

確かに高級車で運転手付きとなれば驚かれ、妬みなどの視線を向けられることも覚悟していた。

そういうものから清水さんを守る可能性も考えていたけど、それらは直ぐに杞憂だと感じた。

あまりに皆さんが楽しそうに騒がれて、そこから妬みなどの感情を感じ取れる様子もなく、別れを惜しみ合い解散した。

自分の事も『イケメン!イケメン!』と揶揄するようにまるで女子高生のように騒ぐ皆に安心すらしてしまったことは内緒にしておこう。

「そうか、それなら良かった。万が一でも絵莉が悲しむ事があったらと考えたりもしたが。それが無かったなら良かった」

「はい、大丈夫です。後でゆっくりとお話を伺ってみて下さい」

「ああ、そうだな」

そう満足げに頷いた社長に、今度はこちらが質問をする番だと思った。

「それで社長。このお部屋のハシャギっぷりは、いかがされました?」