オオカミ社長は恋で乱れる

心地よい揺れは車の振動か、自分の軽い眠りによる頭の揺れか。

「着きましたよ」

優しい問いかけのような声に意識が戻され、見えた景色が車内と運転席からこちらを振り返り見る佐賀さんの顔。

「あっ!すいません。私寝てしまいました」

「いいえ、車酔いなどされなくて安心しました。社長に到着の連絡をしましたので参りましょう」

「はい。・・・え?」

返事をして窓の外を見ると、そこは沢山の車が並ぶ駐車場。

うちのアパート・・ではない。

そんな私の困惑を察知したのか、ドアを開けてくれた佐賀さんがにこりと笑って言った。

「社長から帰りはこちらへお連れするようにとのことでしたので。お伝えもせず申し訳ございませんでした」

「いえいえ、本当にいろいろとお気遣い頂いてこちらこそ申し訳ないです。佐賀さん、ありがとうございます」

頭を下げてお礼を伝えると、微笑んだ佐賀さんが「本当に謙虚な方ですね」と言いながらクスリと笑った。

そして佐賀さんと共に西条さんの部屋に向かい、エレベーターを降りたところへ丁度3人が玄関ドアから出てきた。

凛は西条さんの腕に抱っこされて、悠はこっちに笑顔で走ってくる。

「ママ!」

ギューッと可愛い力で抱きついてくる姿の可愛さに、私も腰を降ろして悠を抱き返した。

すると「ママ〜」と甘えた声を出した凛が西条さんに抱っこされたまま片手を伸ばしてくる。

それに応えようと立ち上がり凛の頬に手を寄せると、凛の方も嬉しそうに抱きついてきたので西条さんからその身を受け取った。

頬擦りしてくる甘えようが可愛くてギュッと抱きしめた。

悠も左足に抱きついてくる。

「お留守番ありがとう。2人共いい子にしてた?」

2人のそれぞれの顔を見ながら聞くと、「うん!」と声を合わせて答えてくれる。
 
「ありがとう」

そう2人に伝えて、目の前の西条さんに視線を移すと笑顔を見せてくれる。

「おかえり」

先に声をかけてくれた西条さんの表情がとても優しくて、この場に帰って来られたことに堪らなく幸せを感じる。

「今日は本当にありがとうございました」

頭を下げて感謝を伝えると、「楽しんで来れたか?」と気遣ってくれる。