オオカミ社長は恋で乱れる

「何だ」

優貴の問いに我に返り、躊躇しながらも言葉を返した。

「申し訳ありません。あの・・・清水さんが妊娠されたのですか?」

その言葉に優貴は更に眉間のシワを寄せた。

「は?彼女は妊娠などしていない。至って健康だ」

「・・・では、孫というのは」

「悠と凛に決まっているだろ」

当然だと言わんばかりの優貴の言い切りに、佐賀は短く息を呑んだ。

孫・・・と言って会長と奥様にあの子達を会わせるということなのか?

2人の間ではもう結婚の話が進んでいるのだろうか?

確かに西条の清水さんへの執心の様はかなりのものだ。

その勢いですでに結婚にまで話を進めたのか?

そんな疑問が次々と浮かび、その先に繋がる不安の種が頭をよぎる。

一人息子の結婚を楽しみにしている会長に、結婚話を越えてもう孫になる存在がいると説明するのだろうか?

実子ではない子達を、そうも簡単に紹介できてしまうものなのか。

いやきっと西条は何でもないことのように会長や奥様に『孫だ』とか『妻と子供だ』とか何とか紹介してしまうだろう。

その時のお二人の驚愕を想像するだけで、寒気と頭痛が襲ってくる。

お怒りになられるだろうか?悲しまれるだろうか?驚きのあまり倒れられてしまうのではないだろうか?

そんなことをグルグルと考えていると、「そのうち絵莉と子供達を会わせに行くから、お前は心配するな」と言ってきた。

私が困惑している事が伝わってしまったのかもしれない。

冷静さを取り戻して、正確な情報を採取することにした。

「ご結婚相手として紹介されるのですか?」

「いや、まだ絵莉に結婚について話していないからそれはできないな。ただ俺はそのつもりだからいつだって会わせる気持ちはある。見合いだなんだと言っているなら来週の土曜日に悠と凛を家に連れて行ってもいいが、絵莉がいないとな。何よりも絵莉が優先だ」