オオカミ社長は恋で乱れる

ゆっくりと離れていく唇の感触に何度も惑わされながら、またその唇を受け入れた。

両頬を包むその手のひらの大きさや温かさに安心しながら、閉じたまぶたを時々開けて愛しい人の瞳を確認すれば、優しい眼差しを返してくれる。 
キスがこんなに気持ちいいものだなんて・・・。

この気持ちを伝えたくてキスの合間に少し微笑むと、頬にあてられていた両手が私の腰へと回り、キュッと抱きしめられた。

そしてまた耳元に唇を寄せて、低い声を落とした。

「もっと俺に甘えてくれ」

「もっと・・ですか?」

「ああ、もっともっと絵莉に甘えて欲しい。悠や凛みたいに体当たりするくらいにな」

「そしたら西条さん倒れてしまいますよ」

「全然平気だよ」

「悠と凛と私。3人分も受け止めきれますか?」

私がおちゃらけながら聞くと、「フッ」と苦笑して見せた。

「全然大丈夫さ。片手で全員分受け止めてやるよ。だから遠慮なく甘えてこい。甘えられるだけ俺が満足する」

「そうなんですか?」

「ああ、試しに今甘えてみろよ」

そう言って両手を広げて、『来い』とばかりに求めている。

「え・・っと」

「ほらっ、来いよ」

「えー」

私が躊躇していると待てないのか、グイッと抱き寄せられてしまった。

西条さんの腕の中に納められて、そっと胸に顔を寄せると、やっはりそこは居心地が良くて身体の力が抜けてくる。

身を預けてそっと見上げると、満足げな顔した西条さんと視線が合った。

そして瞳から唇に視線を下ろすと、私は自らその唇に軽いキスをした。

すぐに唇を離しても、西条さんの唇は追いかけてこない。

それでも瞳は私の唇を見ている。

私はわざと口を開けて見せながら目の前の唇をゆっくりと食んだ。

西条さんの唇は気持ちいい・・・。

何度もゆっくりと食みながらその唇を味わってから離れると、色気を含んだ声が降りてきた。

「いい甘え方だ」

そう言いながら、さっきよりも甘く濃いキスがお返しされた。