オオカミ社長は恋で乱れる

出てくれるかな・・と思いながら2コール聞いたところで「はい」と低い声が耳に響いた。

出るの早い!

自分で電話をかけておきながらも焦ってしまう。

「あっ、すいません清水です。お電話頂いていたのに、遅くなってすいませんでした」

「いや、大丈夫だ」

「今日は本当に申し訳ありませんでした」

低く落ち着いた声が私の背筋に緊張を走らせる。

だからつい電話だというのに頭をペコペコ下げて謝罪してしまう。

すると今度は優しい声色に変わった、

「怪我はどうだ?」

ほんの少しの傷なのに、心配してくれている。

「大丈夫です。もう痛くも何ともありません」

「そうか、それなら良かった。だがまだ無理はしない方がいい」

「はい、ありがとうございます」

そんな気遣いがなんだか凄く嬉しかった。

毎日気を張っている中で、いたわってくれる優しさに胸にジンときてしまう。

見た目は威圧感たっぷりで鋭い目つきに怯えさせられてしまったけど、加害者である私にこんな風に気を使ってくれるなんて、いい人なのかな?と考えを改めてしまう。

そこで自転車のお礼を伝えなければと思い出し、一度咳払いをして改まった。

「あの!すいません」

「ん?何だ?」

「自転車のことなんですけど・・・」

「ああ、届けたもので気に入ったか?」

「あんなに立派な物を頂いてしまうなんて申し訳ないです。私が不注意でぶつかってしまったのに、修理して頂くどころか新しい自転車を頂くなんて・・本当にすいませんでした」

本当に申し訳なくて、電話で見えないというのに頭を下げてしまう。

「気に入ってもらえたならそれでいいんだ。それより・・・聞いてもいいか?」

「はい?何でしょうか・・」

急に改まった言い方に、再度私の背筋が伸びてしまう。

でも聞こえてきた声はさっきまで堂々としていた口調からためらいの口調へと変化した。