オオカミ社長は恋で乱れる

『ピンポーン』

インターホンの音が鳴ったので急いで玄関のドアを開けると、そこに佐賀さんが立っていた。

「こんばんは、夜分にお邪魔致しまして申し訳ございません」

私の姿を確認した佐賀さんは一礼して見せる。

その紳士然な感じについ恐縮してしまう。

「こ・・こんばんは」

とりあえずお辞儀をして迎えると、玄関の中には入ってくることなくその場で要件を話し始めた。

「お待たせ致しましたが、自転車をお持ちしました。今自転車屋さんも到着したので、確認をお願いできますか?」

「自転車屋さんですか?はい、分かりました」

そうお詫びして外に一緒に出ると、そこには私の自転車ではないとても立派な自転車が置いてある。

「えっ?これは私の自転車じゃないですよね・・」

戸惑って確認する私に、佐賀さんはちょっと困った顔を見せた。

「すいません、お預け頂いた自転車も修理できたのですが・・社長から新しい物をお渡しするように言われまして。勝手な事をして申し訳ないのですが、ご迷惑でなければこちらをお使い頂けたらと思います」

「そんな!私あの自転車で充分です。あの、自分で修理お願いできますから、こんな立派な自転車受け取れません」

そうだよ!受け取れるわけないよ。

私の安いママチャリにチャイルドシートを付けたものと違って、絶対に高いよこの自転車。

だってこれ・・・電動アシスト自転車ってやつだよね。

前のシートは風よけがついて立派だし、後ろのシートも背もたれも高くてすごい。

車高は低くて、タイヤも太い。

乗り心地いいだろうな・・・。

一体いくらするの?この自転車。

私なんかが乗る自転車じゃない。

すぐに遠慮する旨を伝えた。