オオカミ社長は恋で乱れる

そこで競技のアナウンスが入った為、優貴さんは凛の頭を撫でて悠の元に戻って行く。

「それでは親子リレー入場しまーす」

園長先生の声にみんなは正面に向き直り、各コーナーへと歩き出した。

並んでいるみんなを見て、ふと気付く。

他のパパさん達は走りやすいようにラフな洋服をきているのに、優貴さんは出張帰りなのでスーツ姿だ。

スリーピーススーツを纏った優貴さんは異様に運動会と言う場では浮いている。

場違い・・でもやたらと魅力的。

「や~ん。カッコいい!」

そう言いながらスマートフォンで撮影し出す人が出てくると、さすがに私も「あ・・」と複雑な感情が生まれてしまう。

すると親子リレーの入場のアナウンスがされて、トラック半周ずつに分かれたスタートラインに向かうと、反対側のスタートラインに悠と優貴さんが歩いて行くのを見送る。

2人は手を繋いでいて、悠が嬉しそうに満面なる笑顔を浮かべて優貴さんに話しかけている。

先生の「よ~い!【ピッ!】」というホイッスルの音のスタートと共に走り出した親子達。

多くの歓声が上がった。

みんな一生懸命走っている中で、悠と優貴さんが手を繋いで笑顔で先頭に出た。

2人早い!

優貴さんが悠の走りを確認しながら息の合った走りで、あっという間に次の親子にバトンを渡した。

走り終わった2人は喜び合っていて、優貴さんが悠の頭を撫でている。

そんな姿を眺めていると凛と私の順番がきて、スタートラインへと誘導された。

「ママ~」

緊張した声の凛に「凛、大丈夫?ママと頑張ろうね」と声をかけると、「・・うん」と不安そうに答えながら私の右手をギュッと握ってくる。

凛はかけっこ苦手だもんね。

そんな凛に先頭集団を走っていたお友達からリングバトンを受け取って走り出し、3組が接戦でコーナーを曲がった。

その時、凛がつまずいて私が支えようとしたけどそなまま凛は派手に転んでしまった。

「あっ!」

私は咄嗟に叫んで凛を起き上がらせようとしたけど、泣き出してしまった凛はうずくまってしまっている。

「凛、もうちょっとだよ。頑張ろう?」

そう声をかけても泣き続けている。

子供にはよくある事だけど、今は運動会だから次の子にバトンを渡さないと。

次々に後方を走っていた子達に追い抜かれて焦っていると、「凛!」と優貴さんの声が聞こえて駆けつけてくれた。