オオカミ社長は恋で乱れる

佐賀さんに電話をかけてみると、コール音3回で相手が出た。

「はい、佐賀です」

「あ、すいません清水です。ご連絡頂いていたのに遅くなってすいませんでした」

焦った私の声に、柔らかい声が返ってきた。

「いいえ、お仕事終わられましたか?」

「はい」

「今どちらにいらっしゃいますか?」

「えっと・・自宅です」

急にどこにいるなんて聞かれて一瞬戸惑う。

男っ気のない生活をしている私には、それすらも刺激になってしまう。

いけない、いけない。

「そうですか。お時間が遅くなって申し訳ないのですが、これから自転車をお届けに伺いたいのですがよろしいですか?」

「えっ!そんな申し訳ないです。私が行きますよ。今日は子供達がいるので、明日になってしまっても大丈夫ですか?」

事故を起こしたのは私の方だし、自転車を回収して修理までお願いしちゃったのにこれ以上迷惑かけられない。

自分で受け取りに行って、かかった費用と事故に関する話し合いをしないといけない。

そう思って明日時間をつくってもらおうと思ったのに、やんわりと却下されてしまった。

「申し訳ございません。こちらの都合になってしまい恐縮なのですが、本日中に届けるように社長から指示されておりまして」

「えっ、あ・・そうですか。すいません、ではよろしくお願いします」

「はい、ではこれからお伺い致します」

そう言って電話が切れた。

目の前の子供達に目をやれば、もう少しでご飯を食べ終わるところ。

私も急いで食べて佐賀さんの到着を待つことにした。