「そうだけど?」


気まずい沈黙を煽るように強めの風が
男の人の栗色の髪を撫でた


いつまでもハンカチを
受け取るそぶりもないくせに
じっと見つめられる空気に耐えれなくて
私は

「それ、捨てていいから」

と言うと恥ずかしさを隠すように
その場から逃げようと走り去った