やっぱり彼は偽物なんじゃ……?



「……」


かと言ってこちらから挨拶する勇気は中々出ない。
人の事言えないくらい自分も失礼な奴だよ。
一言だけで良いのに。
最悪「おは」だけでも良い。





「お…………はよ」


「………」


意を決して言葉を吐いた。
かなり間があったけど、ちゃんと言えた。


龍司君は隣に立っている私を見て「……っす」と謎の返事をしながら会釈した。

相変わらず睨まれているけど。



次はどうする!?
『今日は早いんだね』って完全に嫌味っぽいし、いつも遅い事知ってるって気付かれたら多分引かれる。

かと言って『今日も良い天気だね』なんて土砂降りの雨を見ながら言うもんなら更に睨まれて目だけで殺される気がするよ。



「……」


「……」



き、気まずい。

いつものように本を開いて見たけれど内容がひとつも入ってこない。