だけど、避けられていると思っていたのは私の考え過ぎだったかな。 教科書を借りるなら私じゃなくて前の人でも右隣の人でも良かったはず。 睨んでまで私に借りた意味は分からないけど、それでも彼と話せた事が少しだけ嬉しかった。 「……さんきゅ」 その言葉と一緒に返って来た教科書。 龍司君はまだ笑わない。