「読んでませんよ、見てただけ」
「それを読むっつーの」
「返してください」
「授業終わったらな。
教科書開け。P19読ませてやる」
言われて小さく舌打ちが聞こえた。
あの龍司君が教師に舌打ち!?とギョッとして彼を見てしまって後悔。
「……」
め、めっちゃこっち見てる……!
と言うか凄い睨まれてる……!!!
何で!?私なにかした!?
「教科書貸して」
「…………え」
「赤根ぇ、教科書忘れたなら早く言えよ。
笹川見せてやって」
「は、はいドーゾ」
「……」
まだ新しい教科書をど緊張しながら差し出すと龍司君は変わらず不機嫌な顔でそれを取った。
貸して欲しいなら睨まなくても良いじゃん。
昔の彼を知っているから尚更物凄い怖かった…。
