さよならの時まで、笑顔で

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「アネモネって...お前...」



「ほんと、玲香は幸せもの、だね...っ」



ふたりともアネモネの花言葉を知っているから、そう思うのだろう。




俺は、玲香に視線も戻し、両手を胸の前で重ね、目を瞑る。




玲香、俺な?


あれから、たくさん勉強して医者になったんだ。



少しでも玲香と同じ病気の人たちを治したくて。
だけど、今の技術じゃ無理なんだ。



まだ数年しか働いてないけど、先生に見てもらえてよかったって、言ってくれる人たちがいるんだ。



玲香が俺にくれた、夢だよ。
ありがとう。

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