私はゆっくりと頷いた。
「そう。実は私もね、言われたの。『誰?』って」
「そう、なんですか……」
お母さんが涙声で言った。
辛かっただろうな。
17年間育てた息子に、そんなこと言われたら。
「弱いわよね。いつかこんな日が来るって分かってたはずなのに、いざその時が来ると辛くて逃げ出してしまったの。本当にダメなお母さんね」
「お母さん……」
私は無意識のうちに、お母さんを抱きしめた。
同じ悲しみを共有するように。
「そんなことないです。私も、同じだから」
消え入るような声で、お母さんに言った。
「優杏ちゃん?」
お母さんは、私が抱きしめたのに驚いてるみたい。

