「それじゃ、治療にならないです。今すぐ治す方法はないんですか!?今の医学って凄いんですよね!?だから……」
「優杏!やめろ!」
お医者さんに飛びかかろうとしたところを、颯斗に止められる。
「確かに今の医学は凄く進歩している。それでも治せない病気はまだまだたくさんあるんだ。今でも、研究は進んでいるよ。もしかしたら颯斗くんの治療中に治療法が見つかって、治せる日が来るかもしれない。病気の進行を遅らせるのは、その日を待つって意味もあるんだ」
「っ……」
治療法が見つかる保証なんてどこにもない。
見つかる前に颯斗が死ぬ可能性だって十分にあるってことでしょ?
「だから嫌だったんだよ」

