「優杏ちゃん。どうしてここにいるの?」
うっ。
おばさんにそう言われて言葉に詰まる。
まさか、2人の跡をつけていたなんて言えないし。
「まあ、良いわ。優杏ちゃんも来て。もし嘘がバレて叱られたら嫌でしょ?」
「あ、はい」
「ふざけんなよ。そんな勝手に話を進めるな」
さっきまでずっと黙っていた颯斗が、冷たい声で言った。
その声は颯斗が部活を辞めた日に聞いた声と一緒だった。
別人のような鋭くて刺のある声。
「颯斗。秘密はいつかバレるの。いつまでも隠し通せるわけないの。颯斗もそれを覚悟して、黙っていたんでしょう?」
「……」
“秘密”
多分それは部活を辞めたことと関係がある。
何故か分からないけど、そう思った。
「優杏ちゃん。もしかしたらとても辛いことかもしれないけど、それでも着いて来てくれる?」
「……はい。どれだけ辛くても、私はサッカー部のマネージャーですから。だから、颯斗の秘密も知りたいんです」
「優杏ちゃん……」

