追いかけようとしたら、颯斗のお母さんが私の前に立って私を止めた。
切ない瞳で私を見ていた。
「ごめんね、あの子も辛いのよ。もう、関わらないであげて」
「そんな……」
ショックだった。
颯斗が部活を辞めなきゃいけない理由を教えてくれないことも、颯斗のお母さんにもう颯斗に関わらないでと言われたことも。
「颯斗が
そう言ったんですか?」
春馬が震える声で言った。
涙を堪えていた。
「ええ。だから」
「分かりました。行こう、優杏ちゃん」
「でも!」
「良いから!行くよ」
春馬に引っ張られるまま、颯斗の家の前を去った。
断れなかった。
春馬の目には
涙が溜まっていたから。

