空の君に手をのばして

颯斗の震える字は日記の最後のページの文字と一緒だった。






















きっと、もう長くないって思ったから、動かない右手を必死に動かして書いたんだ。



















最後の思いをペンに託して。






















「颯斗!」





















私は泣き崩れた。

























だって、だって……こんなことされたら会いたくなっちゃうよ。
























どうして逝っちゃったのって聞きたくなっちゃうよ。

























「颯斗くんってば、凝ったことするんだから」























桃花もいつの間にか私の横に来て泣いていたけど、それにも気づかないくらい私は大号泣。






















「優杏。颯斗くんの分まで頑張ろう」


























泣きわめく私を桃花が慰めてくれた。




























「うん。私、生きる。颯斗の分まで精いっぱい生きる!」


























涙を拭って立ち上がった。

























見上げた空は青く澄んでいて、私は精いっぱいに手を伸ばした。