「優杏ちゃん!」






















春馬とそろそろ中に戻ろうとベンチから立ち上がった時、颯斗のお母さんが走ってきた。
























手には何やらノートのようなものを持っている。
























「これ、渡そうと思って」























息を切らせながら、颯斗のお母さんは私にノートを渡してきた。
























私はそれを、不思議そうに受け取る。



























「颯斗から頼まれていたの。もし俺が死んだら渡して欲しいって」


























息を整えながら言った颯斗のお母さんの言葉に、私は目の奥がじわりと熱くなる。

























「絶対に優杏ちゃんに読んで欲しいからって」
























私の目には既に涙が浮かんでいた。

























震える手で、ノートを開いた。