サッカー部は無事に試合を勝ち進み、全国大会で優勝することが出来た。
























学校の校舎には大きく幕が垂らされ【サッカー部 初全国大会優勝!】と書かれていた。




















「なんか恥ずかしいなあ。嬉しいけど、こう大きく宣伝されると」






















春馬が少し照れくさそうに言った。
























「桃花にはちゃんとおめでとうって言ってもらえたの?」



























「もちろん!感動して泣いていたよ。桃花のあんな姿、初めて見たかも」



























桃花はいつも強がっているものねと私が付け足すと、春馬は嬉しそうに親指を立てた。
























「颯斗にも、早く教えてやりたいな」

























「うん」


























未だに目を覚まさない颯斗を頭の中で思い浮かべながら、私は頷いた。
























頭の中の颯斗は笑っている全国で優勝出来た私たちを見て嬉しそうに笑っているんだ。





















「大丈夫だよ。颯斗は助かる。あいつ、ふざけて先輩をからかったりしているけどいざという時はちゃんとやってくれる奴だから。何食わぬ顔でまたいつものように俺たちの前に現れるよ」























「うん。大丈夫、だよね」

























「ああ」

























不安は消えない。






















でも、その不安より今は颯斗が助かるっていう希望の方が大きいんだ。























頭の中にはもう、颯斗が笑っている映像しか出て来ない。






























「春馬、優杏!



























































颯斗くんが……!」