その時





























ピピピピ

























突然颯斗の胸に繋いでいた心拍数を測る機械が鳴り始めた。
























もしかして、危ないの?





嫌だ。























颯斗、死なないで。


























「すみません。少し退室していただけますか?」


























お医者さんにそう言われても、私は部屋を出て行かなかった。



























「優杏。部屋出ないと」
















「嫌!」
















桃花に言われても、私は動かなかった。























今、颯斗から離れたらきっともう会えなくなる。






















そんな予感がしたから。





























「出て行ってくれないと、治療が出来ません。その意味が、分かりますよね?」



















「っ……」






















お医者さんの言い方は少しきつかったけど、その通りだと思った。
























颯斗の容態が急変したことは、見れば分かるほどだ。
























だから、治療をしなければならない。

















手術をしなくちゃいけない。


















そのためには、私たちを部屋から出す必要がある。


















でも、それを拒めば手術は出来なくなって、颯斗は死んでしまうかもしれない。
























私、自分のことしか考えていなかった。
























颯斗の傍にいたいっていう自分勝手な思いで、大切な手術を遮ろうとしたんだ。