水族館から二週間。




いつもの日常に戻りつつあったある日。




事件は起きた。









「ごめんね、優杏ちゃん、みんな。私のせいで」















乃亜ちゃんが病院の階段で足を踏み外して、落ちた先に颯斗がいて巻き添えにしてしまったらしい。











近くに看護師さんがいて、颯斗はすぐに手術室に運ばれたらしいけど……。











「大丈夫だよ、乃亜ちゃんのせいじゃない」

















「でも、颯斗くん危ないかもって」






脳を強く打って、助かるか分からないらしい。



















私も泣きじゃくる乃亜ちゃんを必死に慰めている反面、体は尋常ではないくらいに震えていた。



















もしかしたらこのまま死んでしまうかもしれないという不安が、頭を支配して離れない。




















「優杏ちゃん。乃亜ちゃんは俺が見ているから、少しゆっくりしな」






横から春馬が私に言ってくれたけど















「ううん。それより、桃花の傍にいてあげて。震えているから」






桃花も私と同じ気持ちなのか、体が小刻みに震えていた。





















「……分かった」






















春馬は私にそう言うと、春馬は震える桃花を優しく包み込んだ。





















春馬もきっと不安で仕方ないんだろうな。


























「優杏ちゃん、やっぱり優しいよね。




























颯斗くんの気持ちも、分かる気がする」






私の腕の中で泣いていた乃亜ちゃんが淡々と言った。






















颯斗の気持ち?



























一体何のこと?





































ウィーン





















聞き返そうとした丁度その時




























【手術中】のランプが消え中から白衣を着たお医者さんが出てきた。































颯斗の病気を初めて知った時に会ったあのお医者さんだ。




























「みなさん。お揃いですね」


























お医者さんはそう前置きをして、すうーっと大きく息を吸い込んだ。



























その行動がこれから言うことが、とても勇気のあるものなのだと私たちに知らせ

























余計に緊張や不安が走る。
























「みなさん。落ち着いて聞いてください颯斗くんは



























もう長くありません。もしかすると








































































このまま目を覚まさぬまま息を引き取る可能性もあります」