それから一週間経っていよいよ文化祭当日。





颯斗は無事に文化祭に来られた。




と言っても、一日だけだから二日目の明日は来られないみたいだけど。





「颯斗!まずあそこ行くぞ!」





車で学校にやって来た颯斗に、我先にと春馬が颯斗の車椅子を押して走り出す。






でも、その走って行く前に桃花が立ちはだかった。




「うわ!桃花、そんな所にいたら危ないだろ!」






春馬は桃花にそう怒鳴るけど、当の本人はまったく反省していない様子。






確かに危ないけど、今は桃花の味方をする。
だって、車椅子を押して走るなんてそっちの方が危ないよ。




だから、桃花は身を持ってそれを春馬に教えたと思っていたんだけど







どうやら違うみたい。








「あんたね、分からないの?颯斗が誰と回りたいか」







「え?









……あ」





春馬は小さく声を出すと、後ろで様子を見ていた私の方を見た。







何で、私を見るの?







「優杏ちゃん、ごめん!颯斗が学校に来たのって久しぶりだったから、舞上がっちゃってさ。文化祭、颯斗と楽しんでおいで!」








春馬は私の方へ車椅子を押して、私に車椅子を渡した。








「え、え?」








戸惑う私に、春馬はただただ笑うばかり。そんなに微笑まれても困るよ。









「優杏。今日は、颯斗くんを独り占めして良いから。何なら告白しちゃいなさい」








「な!?」







耳打ちでとんでもないことを言ってくる桃花に、私は顔を赤くする。










こ、告白だなんてそんなこと出来るわけないよ!









「ふふ。ま、とりあえず行っておいで」








「う、うん」











桃花に背中を押され、颯斗が乗る車椅子を押して二人の元から去った。