颯斗は、黙ってそれを受け取ってくれた。 そして、みんなの様子を伺うように、くるりと病室を見回すとクッキーを口の中に入れた。 「これ……」 クッキーを食べた瞬間に、颯斗はボソッとそう言った。 何か思い出したのかな。 「これ、作ったのってもしかしてお前、なの?」 「う、うん。さっき、ここに来る前に焼いてきたの」 「そっか」 クッキーの欠片を見ながら、颯斗は笑った。 これって、思い出してくれた、の? 「優杏、だよな。そうだ、このクッキー 練習終わりにたまにもらってた」