突然、桃花が病室のドアを勢いよく開けて中に入ったから、私と春馬は目を見開いた。
「な、何!?」
桃花が病室の入口に立ってるから見えないけど、多分驚いてるだろう乃亜ちゃんの声が聞こえた。
「あんたね、颯斗くんの病気利用して、勝手に記憶塗り替えてるんじゃないわよ!そのせいで、苦しむ人がいるってことが分からないの!?」
桃花の気迫に、その場にいた誰もが唖然としてた。
怒られてる張本人の乃亜ちゃんも開いた口が塞がらないって言った感じだ。
「優杏、早くクッキー!」
「あ、うん!」
桃花に言われて慌ててクッキーの入った袋を開けた。
「颯斗。これ、食べて欲しいんだ」
私は震える手で、颯斗にクッキーを差し出した。

