空の君に手をのばして





翌日。




俺の病室にあいつが来た。









優杏だ。









「何?」







不機嫌マックスでそう言うとその女は体を震わせながら、言った。










そんな彼女を抱きしめたいとさえ思った。









震わせてるのは俺のせいなのに。










「あ、あの、こ、これ、良かったら食べて欲しい、なって……」









優杏が手に持ってたのは、小包みだった。









中に何が入ってるのか知らないけど、こいつから何か貰いたくなかった。











「いらねぇよ。つーか勝手に部屋に入ってくんなよ。目障り」







「ご、ごめん。迷惑、だよね」








俺が冷たく言い放つと、優杏は部屋を出て行った。





手に持ってた小包みを置いて。







だからいらないって言ったのに。








と、思いつつも置かれた小包みを、また返す気になれなかった。









むしろ、返したくなかった。









この前から何なんだ







このわけが分からない妙な気持ちは。