空の君に手をのばして






あれから何度か俺の病室に来た優杏は、俺が寝てると分かると黙って花束だけ置いて帰った。









本当は寝たふりをしてるとも気づかずに。









きっと、起きててもあいつを苦しめるだけだから。







イライラするのに







苦しめたくないなんて矛盾してるっつの。












「何なんだよ、たくっ」








やり場のない思いが頭を支配してて鬱陶しい。






春馬の言う通り、俺の好きな人が乃亜以外にいたとしてそれがあいつだったら色々矛盾しすぎだろ。