病室に戻ると、見知らぬ男が中にある丸椅子に座ってた。
いや、俺が忘れてるだけかもしれない。
そういう病気だから。
「あ。颯斗!って、俺のこと覚えてないよな。俺は五十嵐春馬だよ。颯斗同じサッカー部の2年だ。よろしくな!」
多分こいつ、俺が病気になる前は俺と凄く仲が良かったんだろう。
人当たりが良い感じがする。
「あ、あぁ。悪い、俺覚えてなくて……」
俺が謝ると、春馬は笑顔を崩さずに言った。
「良いって、そんなの。今日はそれ覚悟で来てるからさ!」
こんな良い奴を忘れるなんて、俺は相当酷い人間なのかもしれない。

