「優杏ちゃん、開いてる」 息を整えた春馬が、病室のドアを指さした。 そこは颯斗の病室だった。 やっぱりもう病室に戻ってたんだ。 「颯斗くんといると本当に楽しい」 病室に近づこうとしたら、中から女の子の声が聞こえた。 この声は乃亜さんだ。 「さっき颯斗と話してた女の子の声だ」 「うん。きっと、この病院で仲良くなったんだね」 他人事のように言った。 本当は2人が仲良くしてる姿を見て、凄く嫌だったのに。 「それは俺も同じだよ。乃亜といるとなんか落ち着く」