空の君に手をのばして






放課後。






サッカー部の練習が終わって、春馬は速攻着替えてみんなに挨拶して足早に学校を出て行った。








「なんだ、あいつ。あんな急いで」







「そういえば今日の颯斗先輩のお見舞いって、春馬先輩でしたよね?」







「え、昨日だろ?」






「いや、なんか親から連絡があったとかで優杏先輩に頼んでて、今日はその代わりだとか」








「あぁ。あいつの親厳しいもんなぁ」









「何だよぉ。今日は俺の番だと思って颯斗楽しませる道具、いっぱい持ってきたのに」









「お前授業中に広げるなよ。恥ずかしいし、先生に見つからないか横の席にいた俺がひやひやしたんだからな」









サッカー部のみんなには、颯斗が完全に記憶をなくしたことは言ってない。








いつか言わなきゃいけないんだよね、春馬と桃花に言ったように。