絶対、好きになれない。

「高峰、言わないと伝わんないよ。」

背中をポンと押される。
叶くんが眉間にしわを寄せながら
わたしから視線を外してそう言った。
賑やかな祭りの音にかき消されそうな声で。

「俺はーーー、東雲先輩が隙つくればすぐに攫うから。すぐ奪いにくるから。」

そう言って、その場を離れた。

ざわざわ、と屋台の騒がしい音が入り混じる中、
わたしと東雲先輩の空間だけ
なんだか特別静かに感じた。

『先輩。』

「ごめんな、取り乱して。あ、愛花ちゃんは獅童に預けたよ!とりあえず後で合流しようって言っておいた。あ、うん、百合ちゃんは俺といても、大丈夫?」

こくんと首を縦に振る。

なんだか困惑気味の東雲先輩。
ずっと頬が赤い。

「とりあえずさ、そのへん座って花火みよ?」

そう、今日は花火大会。
もうすでに何度か上がった花火。
時刻はもう8時を過ぎている。

暗闇に光輝く、花火を見つめながら
わたしと先輩はそっと目を合わせた。