「へー…やっぱり。どんなこと書いてあんのかな…。気になるから家に帰って読むわ」



「えッ…ちょッ……」



あたしがとめようとすると、翔太はいつの間にか教室から去っていった。



(どーしよ…とうとう読まれちゃうんだぁ…あたしの手紙)



あたしは、改めてことの重大さを実感しつつも、どこか安心しているようでもあった。



―キーン、コーン、カーン、コーン……



ようやく完全登校のチャイムが鳴った。



今頃、門が閉められているところだろう。



…あたしは、授業が始まっても、はたまたその日が終わりを告げても、朝見た翔太の姿を、決して忘れはしなかった。



…あれは、絶対何かを思いつめているような目をしていた、



そんな、気がする。