その日は、定時より早く仕事を終えて、 打ち合わせのために航平さんの店に寄った。 その帰り道、まだ道は明るかったので、「送るよ」と言ってくれた航平さんに断りを入れて私は帰り道を進んでいた。 電車を乗り継ぎ涼介さんと住んでいるマンションの入り口に帽子を目深にかぶりマスクをしている女性が立っている。 私は、不審に思ったが、急いで中に入ろうとすると ガシっと腕を掴まれた。 そして、声と内容を聞いて誰だか特定ができた。