お店に置いてあるしおりを見て、嬉々としているところも見られてしまったのだろうか?

(その前に『実はこの押し花を初めて見た時、一目惚れしちゃったんです』…とか言っちゃってなかった?私っ!)


「は…っ…恥ずかしい」


色々思い出して、真っ赤になって俯いていると。

「遥が、あの押し花を気に入ってくれてると知って俺は嬉しかったよ」

蒼くんがフォローするように優しく声を掛けてくれる。

「あおくん…」

「それに、花が好きなのも変わらないんだなって。遥が昔と変わらなくて嬉しかったっていうのもある、かな」

少し照れているのか、よそを向いて話す蒼くんに救われていく。

(蒼くん…)

「私ね、あの時。お花屋さんの話を聞いていて、きっと…この押し花を作った人は花や生き物を大切にする優しい人なんだろうなって思ったんだ。それで、お友達になりたいな…なんて思ってたんだよ」

自分も本音を少しだけ暴露して。「それが蒼くんだったなんて凄いね」と笑った。

すると…。


「じゃあ、改めて友達から…」


そう言うと、蒼くんはいきなり右手を前に差し出した。

「え…?」

「友達からで良いので、俺と付き合って下さい!」

深々と頭を下げる。


「……っ…」


突然のことに驚きつつも。

蒼くんはずっとそのままの姿勢で、手をこちらに差し出したまま返事を待ってくれているので。


「よろしくお願いします」


そう言って、その手を両手のひらで、そっと包んだ。