ペチュニアの恋文

すっかり陽も暮れた夜の住宅街を遥と蒼は並んで歩いていた。

遅くなったので家まで送ると蒼が申し出てくれたのを、そのまま好意に甘える形で今に至っている。

遥的には暗い夜道でも全然平気だったのだが、もう少し蒼と一緒の時間を過ごしていたかったので、この状況は嬉しいものだった。


「実を言うと、俺とユウはいとこ同士なんだ」

「えっ?そうだったの?」

全然知らなかった。

「母方の親戚だから苗字も全然違うんだけどさ。アイツの親も俺の親も働いていたから、いつも帰りが遅くて…。近所に住んでたこともあって小さな頃からいつも…気が付いたら俺たちは一緒にいたんだ」

「そう、だったんだ…」

「うん。親は手間なしだったんじゃないかな。二人で一緒にいてくれれば…」

そう話す蒼くんの横顔はどこか寂し気だった。

(それだけずっと一緒にいたユウくんを失った時の蒼くんの気持ちは…。きっと、計り知れないものなんだろうな…)

何だか切なくなる。

「そんな中で偶然あの公園へ行った時に遥と会ったんだよな」

「うん…」

私は、ずっとひとりぼっちだったから、あの時二人に出会えて本当に世界が変わったんだ。

「あれだけ毎日一緒に遊んでたのに、会わなくなってからの数年は何だかあっという間だったな…」

遠くを見つめる蒼くんの横顔を見つめていたら、不意に視線がこちらへと向けられた。

「ごめんな、遥。俺の行動が逆に遥を傷つけていたんだな」

「そっ…そんなこと!」

頭を下げようとする蒼くんを慌てて止める。