それから三日後。


「おかえりなさいっ」

いつものように仕事から帰って来た母を玄関まで出迎えた遥に、母は思い出したというように手を打つと、突然鞄の中をゴソゴソと漁り出した。

「…?どうしたの?探し物か何か?」

「遥にね、お土産があったんだよねー」

「おみやげ?」

何だろう?と、首を傾げていると。

「あった、あった。はいっ。これっ」

母は鞄の中から、とても小さな紙の小袋を取り出した。

小さくて薄い、カードのようなものが中に入っている。

「ありがとう。でも、これなぁに?」

受け取りながらも疑問を口にすると、母が笑いながら説明してくれる。

「それ、遥が好きそうだなって思ってさ」

手の中にあるその袋を指差す。

「今日ね、あるお客さんが入院しちゃったんで会社の人達と数人で、その人のお見舞いに行ってきたの。その時に前もって私が花を買いに行ったんだけど、その花屋さんでおまけに貰ったのよ」

「おまけ?」

話を聞きながらも、袋の中からそのカードのようなものを取り出してみる。

すると…。

何と、出てきたのは押し花で作られたしおりだった。

「えっ?これ…」

花の種類は違うものの、大きさや付けられたリボン等、ユウくんに貰ったしおりと殆ど同じつくりをしている。

「綺麗でしょう?遥、花好きだし。花束は皆で出し合って買ったんだけど、おまけのことを話したら皆がこれは持って帰って良いって言うから、貰ってきたの」