ライブハウスから吐き出された夜の町。

 近くにあった遅くまでやっているファミレスでちょこっと腹ごしらえ。

 それは皆も同じ考えらしく、見るからにライブに参加していた人達がいくつものテーブルを占拠していた。

「よかったね」

「うん、楽しかったね」

 妙に私もテンションが高い。

 自然と笑む表情は周囲も同じ。

 それでも時間が経つにつれて戻ってくる現実感。

「もう夏だね」

「受験生の夏だね」

「うわ、思い出させないでよ」

「どうするの?」

「一応、進学希望だけど、どこにするかは決めていない」

「私は専門学校に行こうかな」

「えぇ!? 何の専門なの?」

「ふふ、ちょっとねぇ」

 照れたように含み笑いする友達に、ほんの少し置いて行かれた気分。