それから5分ほどして、朱鳥は目を覚ました。

朱鳥は、しばらく、虚ろな目で周りを見渡すと、俺を見つけた。

すると、朱鳥はフラフラと俺に抱きついてくる。

「楓摩……………………行かない……で…………」

そう言って、泣き始める朱鳥に、俺はなんと声をかけていいのかわからなかった。

朱鳥を抱きしめ返すと、とても熱い朱鳥の体温が伝わってくる。

「楓摩…………置いて…行かないで……ごめんね…ごめんね…………」

そう言って、ずっと泣いている朱鳥。

俺は、とてつもない罪悪感に襲われた。

本当、なにやってるんだろう。

俺が悪いのに、朱鳥をたくさん傷つけて、朱鳥に謝らせて……

「朱鳥…………、ごめんね。大丈夫だよ。俺は、行かないから。……ごめんね。ごめんね。俺、朱鳥の事、本当は大好きだから。…迷惑だなんて思ってないから。ごめんね。俺が、悪いのに……本当………………ごめん……」

俺がそう言うと、朱鳥は、俺の目をジッと見つめた。

朱鳥の目には今にもこぼれそうなほど涙が浮かんでいる。

「……楓摩………………行かない?……私、置いていかない?…………本当に、置いていかない??」

「うん。絶対、もう朱鳥を一人にしない。大丈夫。…………本当にごめんね。さっきは、俺、どうかしてた。…ごめん。大好きだよ。朱鳥。」

そう言うと、朱鳥は俺に顔をスリスリとくっつけてきた。

「楓摩…………楓摩…………もう、一人にしないでね…」

朱鳥……

俺は、ギュッと朱鳥を抱きしめた。

ごめんね………ごめんね………………

大好きだよ…朱鳥……