「あ、そーだ。俺、明日久しぶりに休みだからさ、みんなでどこか遊びに行く？」

夕飯の途中、楓摩は突然そう言った。

私は、突然言われて数十秒固まる。

「………………ええっ！？」

「えっ、反応遅くね？」

「いやいや、そーじゃなくて、最近、お仕事忙しいんじゃないの？患者さんも増えたんでしょ？」

「いや、だからこそ、休み取れたから遊びに行こって」

楓摩は、当然のような顔で言うけど、私は驚きを隠せない。

だって、ここ1ヶ月、2ヶ月ほど、楓摩は夜も遅くに帰ってきて、土日もほぼ毎日出勤していた。

休みの日があっても、その日は前日の夜勤のせいで、グッスリ1日中眠ったまま。

だから、楓摩からお出かけに行こうなんて、言われるとは思っていなかった。

「どこ行く？水族館？動物園？普通にショッピングモールでもいいけど。」

「…楓摩、本当に休めるの？大丈夫？体、疲れてるんじゃないの？」

次々と話を進めていく楓摩に、私はそう聞く。

すると、楓摩は一瞬キョトンとしてから、すぐに笑顔になった。

「心配しなくても大丈夫だよ。俺にとって、可愛い家族と一緒に過ごすことが一番の休息だから。」

そう言って、楓摩は私の頭をポンポンと撫でてくれる。

私は、楓摩に甘えることにした。

「わかった！じゃあ、明日はいっぱい楽しもっ!!」

そう言うと、楓摩はもう1度ニコッと笑った。