その次の日

夕方に朱鳥の病室に向かう

いつものようにノックをしてドアを開けると、これまたいつものようにお腹をさすっている朱鳥がいた。

俺は、何も言わずに、ベッドサイドの椅子に腰をかけ、それからお腹をさすっている朱鳥の手に、自分の手を重ねた。

「…楓摩…………」

「大丈夫?不安、抱え込んでない?」

「……正直、やっぱり不安は消えないな…。昨日は、葉月と柚月来てくれて、癒されたし、元気な2人見ると少し安心した。…………けど、赤ちゃん大丈夫かなって…思っちゃって……」

「うん」

「こんなことになったの、私の体が弱いせいかなって……楓摩なら、そんなことないよって言ってくれるだろうけど、でも私のせいじゃないかなって思っちゃって…………」

「うん」

「………………毎日、怖い……私のせいで赤ちゃんが元気に産まれてきてくれなかったら…、私のせいで赤ちゃんが死んじゃったらって考えちゃうの……」

「そっか。それで辛いの?」

コクン

そう頷くと同時に朱鳥の目からは涙がこぼれ落ちる。

俺は、そっと朱鳥を抱きしめた。

「大丈夫。大丈夫。朱鳥のせいなんかじゃないし、赤ちゃんも大丈夫。入院も切迫早産ってことも、辛いと思うけど、あとすこし頑張れば元気な赤ちゃんに会えるから。」

そう言って、しばらく朱鳥の背中を撫で、慰め続けると朱鳥はいつの間にか泣きやみ、ホッとしたのか、ウトウトし始めて、そのまま俺の肩で眠ってしまった。