楓摩side






勤務を終えて、家に帰る

最近は、朱鳥はマタニティーブルーに悩まされているようで、できるだけ早く帰るようにしている。

けど、マンションに帰ると家の外まで聞こえてくる大きな泣き声

すごく嫌な予感がして、急いで家に入ると案の定大泣きの葉月と柚月

そして、朱鳥はポカンとした顔で涙を流しながら、床にぺたんと座り込んでしまっている。

「朱鳥っ…どうしたの?…………葉月と柚月、泣いちゃってるじゃん……」

「……楓摩っ…私……………」

泣く朱鳥を落ち着かせながら、葉月と柚月も泣き止ませる。

葉月と柚月はすぐに泣き止んで、泣き疲れたのか眠ってしまった。

俺はふたりを寝かしつけてきてから、朱鳥の元へと戻った。

朱鳥は、焦りすぎたのか、少し過呼吸気味だ。

「朱鳥、大丈夫だよ。落ち着いて。深呼吸しよ。」

背中をさすりながら、そう声をかけ続けると、少し落ち着いてきた。

「朱鳥、何があったの?」

「……あ…………のね、私、ご飯作ったんだけど…葉月、食べてくれなくて……ご飯のお皿、ひっくり返されて…………私、それに強く怒っちゃって…そしたら泣いちゃって……泣き止ませようと思ったんだけど…やだって言われちゃって…………ご飯食べてくれなかっただけであんなに怒る自分もどうかしてるし…でも悲しくて……よくわかんなくなっちゃった…………」

よくよく聞けば、悪いのは圧倒的に葉月だ。

イヤイヤ期に入ってきたからか、最近は言うことをなかなか聞いてくれない。

でも、朱鳥はそれを怒ってしまった自分を責めている。

きっと、昔の自分と重ねてしまうんだろうな…

それにマタニティーブルーで情緒不安定なのもあって尚更だったんだろう。

「朱鳥、朱鳥が葉月に怒ったのは悪いことじゃないよ。これは、誰が見てもご飯をひっくり返した葉月が悪い。俺でも怒る。ご飯を粗末にするのは良くないからね。葉月も怒られてビックリして泣いちゃったんだよ。柚月もそれにつられて泣いちゃっただけ。大丈夫。朱鳥が気に病む必要は無いよ。それに、少し不安定な時期だからイライラしちゃうんだよね。」

朱鳥を慰めながら、お腹を撫でる。

「大丈夫。もうすぐこのイライラも収まるよ。ごめんね、大変な時期なのにそばにいてあげられなくて。…これからもできるだけ早く帰ってくるようにはするからさ。…今日みたいに、なんか困ったことあったら電話して?」

コクン

「よし。じゃあ、夜ご飯食べよ?まだ食べてないでしょ?」

「……うん」

「じゃ、机の上片付けるから、朱鳥は顔洗っておいで」

コクン