「大丈夫だよ、朱鳥、緊張しないで。リラックス…」

今日はおじさんとの面会(?)の日。

私は、結局熱が下がらなくて、警察の人の同伴で、おじさんは病院に来てくれるらしい。

コンコンッ

ドアがノックされ、体がビクッと震える。

「大丈夫。」

楓摩が背中を撫でてくれるけど、私は怖くてドアの方を見れない。

ギュッと布団を掴んで俯いたまま、ぞろぞろと人が入ってくる音がする。

「朱鳥……」

二度と聞きたくなかった、酒やけしたような声。

「朱鳥、顔、見れる?」

私は、下を俯いたまま首を横に振った。

ベッドの上にいることすら、怖くて、まだフラフラの体を持ち上げて、楓摩の後ろに隠れる。

「朱鳥、そんなに、俺のこと、怖いか……?」

「………………」

怖くて自我を保つのに精一杯で、声も出せない。

「なあ。聞いてるんだけど…」

やだ

怒らないで

ごめんなさい

「…っ……ごめ………………なさ……い」

あぁ、ダメ

パニックになっちゃう。

怖い、怖い……

息、苦しい…

必死に楓摩の背中に抱きつくと、楓摩は、ゆっくり私の方を向いて私を正面からギュッと抱きしめる。

「呼吸、苦しくなっちゃったね。何もされないし、大丈夫だから、とりあえず、落ち着いて深呼吸しよう。」

楓摩に促されて、呼吸を続けると、だいぶ落ち着いてきた。

でも、怖いことには変わりなくて、私は楓摩に抱きついたまま。

「おい、俺は今日は何もしてねえだろ?なんでそんなに怯えるんだよ……クソッ…」

楓摩に抱きつく力を強めて、頑張って過呼吸にならないように呼吸する。

その代わり、体が小刻みに震えて、目からはボロボロ涙が溢れる。

「何もしてなくないですよね。今日、一切触れてなくても、朱鳥にしたら、過去の嫌な記憶がフラッシュバックして、あなたの声を聞くだけで怖がってるんです。……ちょっと、朱鳥も焦ってきてるので、一旦退室願えますか?」

「お、おう……」