処置室まで向かうと、朱鳥しかいないはずなのに、微かに話し声が聞こえる。

少し嫌な予感がして、急いで処置室に入る。




処置室には、何度か見た事のある先生と、怯えきった様子の朱鳥がいた。

「あなたは誰先生の患者さん?どうしてここにいるの?ここ、これから私が使う予定なんだが……」

「あの、すいません。その子、俺の患者です。急患で、かなりの脱水と貧血症状があったので、急遽、空いていたここ使わせてもらっていたんです。すいません。」

「ああ、そうなの。まあ、いいや。とりあえず、こここれから使うから。」

「はい。わかりました。すいません。」

俺は、涙目の朱鳥を抱き上げて、点滴のパックを持って処置室を出る。

それから、手続きをした病室へ朱鳥を連れていき、ベッドへ寝かせる。

幸い、パニックまでは陥ってなさそうだけど…

「朱鳥、何があったの?」

「…………私、寝てたら………………急に、知らないお医者さん、来て…話しかけられて………怖く…なっちゃった………………」

「そっか、そっか。でも、取り乱さないで、偉かったね。我慢したの?」

コクン

「よしよし。もう大丈夫だよ。ごめんね。」

抱きしめた朱鳥の体は、まだ熱くて、体重を預けてきたことから、体がだいぶ辛そうなのがわかる。

ストレスで、ここまで酷い症状がでるのは初めてかもしれない。

それほど、あの手紙は朱鳥に混乱と葛藤を起こさせたんだ。