夜中

咳き込む音で目が覚めた。

見ると、朱鳥が起き上がって咳をしている。

喘息か

俺は、ベッドサイドに置いてある吸入器を取って、朱鳥に手渡した。

「朱鳥、落ち着いてね。ゆっくり、これ吸って。」

そう言いながら何度も背中をさする。

「大丈夫。大丈夫。落ち着いて。」

と言っても、今日はなかなか収まらない様子。

暗くてよく様子が見えないから、リビングに移動しようかな……

と思った時

「ん……あぁぁぁぁぁぁ!!」

柚月が目を覚ましたのか、大きな声で泣き出した。

それには、朱鳥も少し驚いて、焦ったようで、さらに咳がひどくなる。

「朱鳥、大丈夫だから、ゆっくり呼吸して。ちょっと待ってて柚月寝かせてくるから。」

少し心配だけど、俺はベビーベッドまで向かって、柚月を抱っこする。

「よしよし、起きちゃったか。」

抱っこしながら、眠たくなるように揺すって声をかけ続けていると、柚月はそのまま、すぐに眠りについた。

俺は、そっと柚月をベビーベッドに戻してから朱鳥の所へ戻る。

「ごめんね、朱鳥。大丈夫?」

戻ると、さっきよりは少し咳がおさまって来た様子。

「大丈夫だから、その調子でもう少し吸入して。だいぶ咳収まってきてるし。」

コクン

それから何分もしないうちに咳がおさまった朱鳥は、少し疲れた様子で俺にもたれかかった。

「…………苦しかった…」

「うん。たまにだけど、喘息出ると辛いね。少しずつ体強くしていけば、ちょっとは収まるかもね……。けど、朱鳥にとっては、今はゆっくり過ごすことが一番いいからさ。変に気負いしなくていいよ。」

そう頭を撫でてやると、朱鳥は小さく頷いてから俺の手を握った。

「寝る……けど、ちょっと寂しい気がするから手繋いでいい?」

「もちろん。俺も、もっとそばに寄っていい?」

コクン

布団に入って、朱鳥にくっつくと、とっても暖かかった。

本当にいい夢が見られそうだ。