「じゃあ、今日は練習はしないで、次回からしようか。今日は朱鳥ちゃんの話聞かせて?思ってること全部聞きたいな。我慢しなくていいから」

「私の……話?」

「不安に思ってることとか。嫌だな~って思うこと教えて?人に話すだけで少しは楽になれるから。」

………………コクン

「無理に話す必要はないよ。朱鳥ちゃんのペースで、話したいことは話してね。疲れたり、辛かったら休憩しながら、やめたかったら教えてね。」

コクン

「じゃあ、朱鳥ちゃんが今怖いことを教えて?」

「……おじさん、暴力、暴言、周りの人の目、知らない大人…あとは…………孤独」

「そっか、そっか。具体的にどんなことが怖い?」

「おじさんは…痛いことしてきて、夢の中でも本当に痛いから辛い。それに、私はダメな子なんだってなんども思っちゃう。

暴力は痛いから嫌だ…それに、傷もついちゃうし……
暴言も心が辛くなっちゃうから嫌だ。
"死ね"って言われると……私、やっぱり死なないといけなかったのかな…っていう気持ちになる。

周りの人の目は、私、他の人に比べて何も出来ないから、それで、何かを言われるのが怖い。

知らない大人は、自分に暴力をふるってくる気がして、慣れるまでは怖い。

孤独は…………真っ暗なところにポツンって取り残された感じがして怖い。」

「そっか、そっか。おじさんに何回も言われるから、朱鳥ちゃんはダメな子なんかじゃないのに、思い出しちゃうんだね。でも、思い出す度に何回でも言ってあげる。
朱鳥ちゃんはダメな子なんかじゃない。とっても、優しくて素敵な人。
ちょっと紙にこのこと書き出してみて。不安になったら何回も見返して。"朱鳥ちゃんはダメな子なんかじゃない"」