「大丈夫。大丈夫。不安にならなくていいよ。たとえ失敗しても、誰も最初から上手くやれる人はいないから。それにね、朱鳥ちゃんは周りの人の目を気にしてるのかもしれないけど、もう誰も朱鳥ちゃんを傷つけないし、攻めないから。安心していいよ。」

そのまま、しばらく背中をさすって、慰めていると、朱鳥ちゃんは、少し安心したのか体の力が抜けたようにソファの背もたれに体重を預けた。

少し顔が赤い。

楓摩が言ってた通り少し微熱があるのかもしれない。

「朱鳥ちゃん、辛いかもしれないけど、もう少しお話聞いてもいい?それとも、1回休む?」

「……話す…」

「ありがとう。じゃあ、少し怖いかもしれないから、無理そうだったら言ってね。」

コクン

「この前ね、俺と楓摩で、朱鳥ちゃんのおじさんに会ってきたの。」

朱鳥ちゃんの表情が強ばる。

「おじさんはね、今、警察に捕まって、刑務所にいるの。だから、朱鳥ちゃんには絶対に手は出せないってこと。でも、そう言ったって、いつかは釈放されて外に出てくる。そしたら、朱鳥ちゃん不安でしょ?」

コクン

「それでね、俺たち話し合って考えたんだけど、朱鳥ちゃんの心の辛さを完全に消すには、おじさんと話し合いをして解決するのが一番かなって思ったの。」

朱鳥ちゃんの表情は曇っている。

これから、俺が何を言うか怯えているみたい。

「でも、朱鳥ちゃんはおじさんが怖いよね?」

コクン

「だから、話し合う前に少しだけおじさんに対する耐性をつける練習をしようと思ったの。最初は、少し辛いかもしれないけど、これが一番の治療かなって思ってさ。できる?」

「………………何するの…?」

「最初のうちは、前みたいに話をしてもらって、それで思い出して、怖くならないように練習しよう。それから、少し慣れたら今度は写真を見てもらって怖くないかの練習。最後に声の音を聞いてもらって怖くないかの練習。こんな感じでどうかな?」

「……わかった…」