熱を下げる応急処置をしてから、ベッドの横にある椅子に腰をかけて朱鳥の手を握った。

1秒でも早く、朱鳥が楽になってくれればいいのに……

そう思っていると、ふと手を握り返された。

見ると、まだ赤い顔をしている朱鳥が少し目を開けていた。

「朱鳥、おはよう。気がついた?」

……コクン

「…………お家…帰りたいな……」

「でも、朱鳥まだ熱高いからさ、もう少し下がるまでここで頑張れる?そしたら、家にも帰れるよ。」

そう言って頭を撫でてあげると、朱鳥は少しだけ眉を下げた。

「葉月と柚月に……会いたい…」

「そっか。二人ともちゃんと、元気にして朱鳥のこと待ってるからね。大丈夫だよ。早く良くなって家帰ろうね。家帰ったら、こんど俺が休みの日にでもみんなでお出かけしよっか。どこ行きたい?」

「……ピク…ニック…………」

「ピクニックか。いいね。俺も楽しみだなあ。じゃあ、みんなで噴水ある公園行こっか。最近は暑いから、葉月と柚月も水浴び出来たら楽しいんじゃないかな?」

「うん……じゃ…二人の水着……買わなきゃね」

そう言って途切れ途切れに話しながらも幸せそうな朱鳥

「そうだね。それも一緒に買いに行こうか」

コクン

そのあともしばらく他愛もない話をし続け、気がついたら朱鳥は再び眠っていた。