それから程なくして、カテーテルを行う日は決まった。

そして、それが今日。

昨日の夜は、不安と恐怖からか、悪夢をいっぱい見て、全然眠れなかった。

でも、今日は朝早くからカテーテルを行うことが決まっていた。

午前中じゃないと、楓摩も手が空いていないらしい。

私は、楓摩に連れられて、カテーテルを行う専用の手術室よりも小さいらしいけど、それに似た所に連れてこられた。

まあ、でもカテーテルって言っても正式名称はカテーテル手術らしいから、一応手術なんだよね……

とか思っているあいだにも、部屋に通され、上を脱がされて、ベッドに寝かされる。

準備は淡々と進んでいく。

手術……

そう思うと、自然と楓摩の手を握っている力が強くなった。

怖い……

「朱鳥、大丈夫?具合悪い?」

私はフルフルと首を横に振る。

「……怖いの?」

…コクン

「そっか。大丈夫だよ。俺がずっとついてるから。」

そう言って、楓摩はベッドに寝かされた私の隣の椅子に腰をかけて手を握ってくれた。

それから、麻酔科医だという先生が入ってきて、さらに怖くなる。

「朱鳥、大丈夫。局部麻酔だから、少しチクってするだけだよ。」

楓摩の方を向いて、ギュッと楓摩の手を握っていると、注射が刺される痛みが走って、それからしばらくして足元の感覚が鈍ってきた。

カテーテルは足の付け根の太い血管から刺されて、心臓まで通すらしい。

麻酔が終わって、準備はどんどん出来ていく。

看護師さんが何かを用意する度に、どんどん不安と怖さが大きくなっていく。

「朱鳥、リラックスしよう。緊張してたら、脈早くなっちゃって、カテーテルも通しずらいからね。」

……コクン

「大丈夫だから。俺がいるしょ?リラックスして寝ててもいいから。昨日も、全然眠れてないんでしょ?隈、出来てるよ。」

そう言って頭を撫でられると、また、少しだけ涙が出た。

「可哀想に…………まだ、熱も下がりきってなくて辛いのに、嫌なこと重なって、さらに辛いよね…。全部ストレスから来てるって言う所も辛いね。……早く、全部が良くなればいいのに…。頑張れ。朱鳥なら頑張れるよ。たくさん泣いてもいいから。」

そう言われて、私はさらに涙を流した。

怖い

熱い

辛い

不安

嫌だ

疲れた

そんな気持ちでいっぱいだった。