「…んだよ。また、お前らか。今日は何の用だ?」

「……今日は…いや、今日も、朱鳥の件で話をしに来ました。今日は、少し朱鳥の今の様子を見て頂こうと思って。」

俺はタブレット端末を操作し、動画を再生する。

朱鳥には悪いけど、家で夜うなされている朱鳥の様子と昨日の様子を撮ったものだ。

夜中、モゾモゾと動き出したと思ったら、小さく震え始め、次第に息が荒くなり、涙がして泣き始める。

"やめてっ……めんなさい…………ごめんなさいっ!!"

それと、もうひとつ、昨日の夜の様子

びっしょり汗をかいて、苦しそうに息をし、目も虚ろ。

だけど、小声でずっと

"ごめ…………さい……ゃぁっ………………ぃたいっ……やだあっ"

とうわ言のように繰り返している。

俺でさえ、見てるだけで胸が痛くなってくる。

これを見ると、本当に目の前にいる、この朱鳥のトラウマの原因が憎くて仕方がなくなる。

「………………これを見て、俺にどうしろと?こんなに、怖がってるんじゃ、会ったとしてもまた傷を深くするだけだ。」

「そうではなくて、まずは直接会うのではなくて間接的に…例えば手紙とかでコミュニケーションを取ってもらいたいんです。それで、慣れてきたら、その後直接会って、それが解決に結びつけば最前だと考えています。精神科医として、俺も精一杯サポートします。これを見て、少しでも気持ちが動いてくれたなら……」

「あいつ、まだ俺の夢みんのかよ…。何年前の話だよ…………、そんなに酷いことしたか………」

少し俯いて、神妙な面持ちをしているけど、俺の本心はそれを疑ってしまう。

そりゃ、疑うだろう。

ここまで酷いことをして、前回みたいなことを言えるのだから。

「……前にさ、サンドバッグって言ったろ?あれ、少しは反省してるよ。俺も気がたってたから…。でも、アイツを使ってストレスを発散してたのは事実だ。それがまだ、あいつを苦しめてんなら、少し考える……」

少し……だと

ふざけんなよ………

ちゃんと真面目に考えて、お願いだから、朱鳥のことをもっと考えろや。

腐っても親なんだろ??

…………俺はやりきれない気持ちでいっぱいになった。